07 March 2025
Talk Session 〜女性のためのメンターシップ〜
TBWA\HAKUHODOには、Peace Piratesという、DE&Iについて関心を持つ社員たちが組織横断で集まった有志のグループがあります。2020年からの活動開始以来、「Gender Week」や「Pride Month」などの勉強会やイベントを企画・実施し、ボトムアップ型で人事設計やオフィス環境に良い変化を促してきました。そんなPeace Piratesが今年の国際女性デーに選んだテーマは「女性のためのメンターシップ」。今回のStoriesでは、そのトークセッションの内容をお届けします。
エリック:今日はトークセッションにお集まりいただきありがとうございます。昨年の「〜We are all leaders〜多様なリーダーシップ像について考える」に続いて、今回焦点を当てるのは「メンターシップ」です。その理由は、世界経済フォーラムが毎年発表している「グローバル・ジェンダー・ギャップ指数」にあります。日本は長らく下位に位置しており、2024年はやや上がって118位となりましたが、やはり経済活動や政治参加の分野での女性の活躍が少ないことが問題だと言われています。女性が活躍していくうえで「メンターシップ」は重要な鍵になるのではと考えます。
TBWA\HAKUHODOでは女性社員が安心して活躍できる会社であるために、さまざまな仕組みを用意しており、昨年からスタートした施策として、アンコンシャス・バイアス研修、卵子凍結の補助制度などがあります。そして「パーソナル・コーチング制度」もそのひとつです。
「パーソナル・コーチング制度」は、新たにマネージャーとなった社員が対象で、男女問わずサポートを受けられる仕組みになっています。今日お集まりいただいた中にも、このパーソナル・コーチング制度を受けて、コーチングやメンターシップの重要性を実感された方もいると伺っています。そこで今回は、さまざまな経験を持つ多様な女性メンバーに集まってもらい、「女性のためのメンターシップ」について意見を語ってもらいたいと思います。
司会のPeace Piratesのリーダー、Eric Ellefsen(Trans-Creation Leader)
実際に「パーソナル・コーチング制度」を受けて生まれた
「女性向けメンターシップ」構想
米澤:私自身、昨年つくられたInnovation Hubという部署の責任者に任命されたことから、会社が用意してくれたパーソナル・コーチングを受けました。最初は「役に立つんだろうか」という半信半疑の気持ちでしたが、実際に受けてみてとても良い経験になりました。
私のコーチになってくれた方は私とは全く異なる業界でキャリアをつくってきた女性だったのですが、まずは私の仕事や悩みなどを整理することから始まりました。コーチは答えを教えてくれるのではなく、私自身が答えを見出せるよう問いかけを重ねてくれました。思考を深掘りして自分で結論を出せるので、非常に助けになりました。
会社として、より多様なマネージャー像を育てようとしているのがこの制度に表れていると感じますし、こういったサポートは継続してほしいです。
コーチングを受けて得た大きな学びは、「いろいろな答えや道がある」と認識できたことです。答えを与えられるのではなく、自分の中で見つけていく。そのプロセスが自分のキャリアをより主体的に捉え直すきっかけになりました。
そこで、新任マネージャー向け以外にも似たような仕組みを作れないかと思うようになりました。 女性同士でも、仕事の利害関係を離れた場所でもう少しフラットに話せる相手がいるといいのではないでしょうか。仕事上の上下関係があるとどうしても「指導」に近い形になりがちですが、もっと横のつながりでシェアできることがあると思います。
TBWA\HAKUHODOではいろいろな女性が活躍しているとはいえ、ロールモデルのバリエーションはまだ多いとは言えないかもしれません。でも、「自分とぴったり同じタイプのロールモデル」はいなくても、「あの人のここを真似したい」とか「このやり方は自分には合わないけど部分的には取り入れられそう」という発見ができるだけでも、将来のビジョンが具体化するはずです。そんなきっかけになればと思います。
ロールモデル・メンターに多様性が欲しい
ソレマン:以前所属していた部署は女性比率が高かったのですが、ロールモデルの種類が豊富かと言われると必ずしもそうではありませんでした。
ロールモデルが少ないと、その少数の先輩が「働く女性の代表」みたいに見られてしまい、後輩のキャリアの選択肢が狭まる懸念があります。米澤さんの言うようなメンターシップ制度があれば、いろいろなキャリアのパターンを可視化して「こんな道もあるんだ」とシェアできますよね。まずはさまざまなケースがあるということを見せていくことが大きな一歩になると思います。
メンターになるには自分にもメンティーとしての経験が必要
笠間:今年、はじめて新入社員のメンターを担当し、その経験を通じて「私自身にもメンターが欲しい」と強く感じるようになりました。
それは「自分の話を聞いてほしい」ということではなく、後輩をサポートする際に、どう声をかけたら彼らのモチベーションや自信を最大限引き出してあげられるか、迷うことが多かったからです。
私が考えるメンターは、単なる共感者ではなく、新しい視点を提供したり、内省を促してくれる存在です。対話を通じて、「自分ならできる!」と前向きな気持ちになれることが、理想のメンタリングだと思っています。ただ、これまで自分自身がメンターを持った経験がなく、その理想をどのように実践すればよいのか分からなかったのです。
一方で、素晴らしいメンティー経験をした人は、将来その人も素晴らしいメンターになれると思います。THがモチベーションと自信に満ちた環境になるためには、多くの人がメンティーとメンターの両方を経験することが大切だと考えています。
初めての相談相手は横のつながりから
茨木:私はコロナ禍の真っ只中で新卒入社したので、しばらくは全てオンライン、しかもチームは男性ばかりという環境でした。1年目は目の前の仕事に必死で、メンターが欲しいと考える余裕もありませんでした。
でも、入社5年目の今、自分のキャリアパスを考えるとき、自分と似たようなバックグラウンドで働いてきた女性の先輩が身近にいないことをふと感じるようになりました。相談できる人が社内に少ないというか、見えにくい状況があります。
最近、グローバルの研修に参加する機会があり、そこで同じように研修を受けた米澤さんやソレマンさんと食事に行ってさまざまな会話をさせてもらうことで、初めて自分の悩みを共有することができました。それだけでも視野か広がったし、今となってはあれが私にとっての貴重な「初めてのメンター体験」だったように思います。
ライフステージが変化するときに役立つメンターシップ
愛沢:私の部署は若手の女性が多く、ここ1〜2年でライフステージが大きく変わるメンバーが何人も出てきました。みんなでサポートし合おうという雰囲気はあるものの、いざキャリアを長いスパンで考えると、自身の5年後の姿すらなかなかイメージするのが難しい気がします。
そんな時に、別の部署やいろいろな働き方をしている女性と話せるメンター制度があれば「こういうことも可能なんだ」「こういう選択肢があるんだ」という気づきを得やすいと思います。ライフステージの変化は人によってさまざまなので、自分が何を優先したいのかを考えるサポートができるだけでも、違うんじゃないでしょうか。
「子育てと仕事の両立」という言葉への違和感
誰もが生活と仕事を両立している
池田:私は子どもが生まれてからも部長を続けているからか、「どんなふうに仕事と家庭を両立しているんですか?」と聞かれることが多々あります。実際は、一人で両立なんてできません。仕事がチームで回すものであるのと同様、育児も自分と夫だけでなく、ベビーシッターさんや保育園など多くの人や機関に協力してもらい、チームを作ることで成り立っています。
シッターさん選びに関しては、産後5ヶ月の復帰までに60人に会って、3人を厳選し、役割を分担してお願いしてきました。そこまでするなんてクレイジーだと思われるかもしれませんが、私の場合はそれくらい入念な準備や信頼関係の構築を重ねることで、安心して仕事に集中できる土台をつくっています。
でも、そもそも「子育てと仕事の両立」という言葉自体に違和感を感じます。誰もが何かしらの生活を両立しながら働いていることが前提なのだから、子育てにおいてだけわざわざ「両立」を強調しなくてもよい社会になればいいなと思います。
米澤:私も同感です。「両立」というと子育てだけが注目されがちですが、仕事と生活を両立しているのは全員同じですよね。ペットの世話をしている人、介護をしている人、一人暮らしをしている人も、皆それぞれに生活がある。広告の仕事は生活者の気持ちを理解することが重要ですから、むしろ「どうやって生活と仕事のバランスを取るか」はTBWA\HAKUHODOのすべての社員に必要な視点だと思います。
私は、現在社内で運用されている「88ルール」(メールなどの連絡は可能な限り朝8時から夜8時までにしようという呼びかけ)などを提案してきました。これからも、育児の有無や性別を問わず、誰もが自分の暮らしと仕事を両立しやすいルールづくりの模索と提案を続けたいと思っています。
メンターシップの輪が広がることで
多様なキャリアや働き方を考えられる
エリック:女性が活躍できる社会になったとはいえ、女性から見ると、まだまだ社内・社外ともに女性のロールモデルの種類が限られている・メンターに出会いにくいという課題があり、さまざまなキャリアの道を可視化することの重要性を感じました。TBWA\HAKUHODOの社内だけでも、コーチングの機会やメンターとの出会いの輪がさらに広がれば、みんながもっと生き生きと働ける未来を実現できそうです。これは女性に限ったことではなく、男性も含め全員に言えることではないでしょうか。そして、誰もが生活と仕事を両立していることも、忘れてはならない大きな学びでした。
Peace Piratesでは、これからもこのような議論を重ねて、誰もが働きやすい風土づくりを目指していきます。