27 April 2021
AOY受賞者インタビュー:プラニング・スーパーバイザー ソイカ・パトリーツィヤ
STORIESでは、TBWA\HAKUHODOで活躍中の社員をピックアップ!
アジア最大の広告専門誌『Campaign Asia Pacific』が主催するアワード「Japan/Korea Agency of the Year」で個人賞を受賞した社員たちのSTORIESをお届けします。今回は、「Strategic/Brand Planner of the Year」部門を受賞したソイカ・パトリーツィヤ(Patrycja Sojka)をご紹介します。
ソイカ・パトリーツィヤ(Patrycja Sojka)
TBWA\HAKUHODO ストラテジック・プラニング・スーパーバイザー
ドイツ出身。TBWA\Germanyの戦略プランナーとしてキャリアをスタートし、2017年にTBWA\HAKUHODOへ。主要なグローバルクライアントのマーケティング&コミュニケーション戦略を担当。また、TBWAグローバルネットワークのカルチャー・インテリジェンスチームBackslash、コンサルティングユニットDisruption®︎ Consulting、社内でダイバーシティをリードするワーキンググループ 「Peace Pirates」のメンバーとしても活躍している。
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Q. 当社に入社したきっかけと、どんな業務をしているか教えてください。
TBWAとの最初の出会いはインターンです。大学卒業後の9ヶ月間、インターンとしてTBWA\Germanyで営業と企画を担当させてもらい、その経験からプラニングに興味を持つようになって、大学院でマーケティングの学位を取得しました。その後、インターンでお世話になったシニアプランナーからTBWAグローバルのカルチャー・インテリジェンスチーム「Backslash」の新プロジェクトのリーダーとして誘っていただいて、TBWA\Germanyに正式に入社することになりました。
入社後、TBWAの世界各地のオフィスと仕事をしていた中で、東京のTBWA\HAKUHODOチームとの共同プロジェクトをする機会がありました。幸運にも、私のプラニングと日本語スキルをみた東京のチームから、日本への異動を提案していただいて今に至っています。今年で、東京にやってきて4年目です。
今は、プランナーとして、さまざまなクライアントに対してより良いコミュニケーションをするための戦略構築をサポートをしているほか、Backslashのメインメンバーとしても活動しています。
常にカルチャーの最先端に立つ、消費者の代弁者
Q. プランナーとはどんな仕事ですか?
常にカルチャーの最先端や変化の中心を見つめ、何が人々を動かしているのかを理解する必要があり、常にチャレンジし続け好奇心を持ち続け学び続けることができる人にぴったりのユニークな仕事です。私たちプランナーは、目まぐるしく変化し続ける世界と人々の考え方を理解し、人々の心を動かし感動を与えるコミュニケーションをするために常に努力しています。退屈になることなく、毎日新しいものに触れることができる面白い仕事です。
私たちプランナーは、消費者の立場から各ブランドの課題にアプローチする「消費者の代弁者」でありたいと思っています。エージェンシーのいろいろな職務の中で、プランナーが消費者に最も近い存在として、インサイトをどのようにブランドに適用すれば良い結果が出るかをよく理解していなければなりません。
Never Stop Believing
Q. 何をきっかけに広告業界、そして日本で働くことに興味を持ったのですか?
広告やマーケティングの世界に入った大きな原動力は、世界への好奇心です。私は、昔から人を観察することにとても興味があり、旅をするのが趣味で、さまざまな場所へ行ってただカフェに座り、そこにいる人々がどのように生活し、話し、振る舞っているのかを観察する時間が好きでした。そんな経験を積み重ねたり、大学での学びから、マーケティングは人々の行動や生き様を理解する、すなわち文化を理解するのと同義であることに気づきました。
きっかけが何だったのかを覚えていないくらい、私はずっと昔から日本に興味を持っていました。モダンなものと伝統的なものが混在する日本文化の独自性にとても魅力を感じて、遠いドイツにいても、日本のことを考えている間は自分が日本と繋がっているような気がしていました。
日本で暮らすことに憧れていたので、大学時代は日本のインターンシップにも応募しました。でも、日本には「新卒就活」などの独特の雇用文化がありドイツの就職プロセスとは大きく異なっていたこともあって、いくつか日本の広告会社に連絡してみたものの返事はいただけず。残念に思いましたが、地元ドイツで広告業界の経験を積んで、またチャレンジしようと心に決めたのでした。
そんなことがあったので、TBWA\Germanyに就職してからTBWA\HAKUHODOと仕事をする機会に恵まれ、さらに異動のお声がけをいただけた時は、即座に「YES」と答えました。月並みですが「本当にやりたいと思ったら、信じることをやめてはいけない(Never stop believing)」と、みなさんにお伝えしたいです。
Q. 日本で働く中で、母国との違いやユニークさを感じたことはありましたか?
ドイツと比べて面白いのは、日本では「日本らしいやり方は何か」という会話が多いことです。ドイツでは「これがドイツ・国際的なやり方だ」というような会話をすることはありませんし、考えたこともありませんでした。日本では、日本と海外を分けて考える意識があると感じます。
Q. TBWA\HAKUHODOのカルチャー、そして日本のビジネスカルチャーで良いと思うところや、逆に課題に感じることはなんですか?
TBWA\HAKUHODOのユニークなところは、日本とグローバルの「真のジョイントベンチャー(Joint Venture)」であり、日本的な視点とグローバル的な視点とバリエーションが混在しているところです。そして、多様性に富んでいること。みんな個性的でコミュニケーション方法も違いますが、共通しているのは、自分たちの仕事に熱い情熱を持っていることです。
社員一人一人の働き方や性格は違っても、会社のフィロソフィーである「Disruption®︎(創造的破壊)」を私たちの絶対的なアイデンティティとしているので、どんな仕事においても必ずこの共通の信念に立ち返り、過程や成果を省みることができます。だからこそ生まれているフレキシビリティがこの会社にはあり、チームやプロジェクトによってさまざまなアプローチとやり方が認められることが魅力だと思います。自分にどんなやり方が向いているかを探求するチャンスを与えてくれていると思います。
TBWA\HAKUHODOだけでなく、日本のビジネス全体を通して感じていることですが、仕事に情熱を持つことは素晴らしいけれど、それがワーカホリック(Workaholic)と呼べるくらいであることは少し変えていけたらと思いますね。ドイツの人々は、「自分は何のために働いているのか」「何の目的があるのか、何を達成したいのか」を常に自問しています。そしてその答えの多くは「家族や友人と過ごすこと」や「自分のための時間」などです。この意識があるからこそ、ドイツではワークライフバランスを実現することができているのです。
特に、生活者にメッセージを伝える私たち広告会社の仕事の特性を考えると、「生活の中」でよりたくさんの時間を過ごすことが大切ではないでしょうか。
チャレンジは続くーしかしチャレンジし続ける
Q. これまでTBWA\HAKUHODOで仕事をしてきた中で一番大変だったことは何ですか?
私にとっての最大のチャレンジは最初の1日目から今でも変わっていません。それは「言葉」です。
プランナーは、広告コピーは書かないかもしれませんが、クライアントや社内に提出するアウトプットとして、複雑な考えやアイデアをシンプルでわかりやすい言葉に置き換えなくてはなりません。それを日本語で完璧に表現しきれずにうまく伝わらなくて、心が折れてしまう時もあります。
読み書きも会話もひと通りのことはなんでも日本語でできるので、周りの日本人は気づかないことが多いのですが、実は知らない言葉や文法には今でも毎日直面しています。言葉の問題は終わることのない大きなチャレンジですが、ポジティブな姿勢で向き合おうとしています。ときには英語で説明させてもらったり、英語と日本語を切り替えながら、自分が本当に伝えたいことにより合う言葉で表現させてもらうなどして乗り越えています。
Q. 仕事をする上で大切にしているポリシーはありますか?
私のポリシーは「効率的であること」です。自分の時間だけでなく、誰の時間も無駄にしないこと。
入社したばかりの若いプランナーたちとよく一緒に仕事をしていますが、時間を大切にすることは常に伝えるようにしています。若いゆえに情熱を持ち仕事に取り組んでいる彼らですが、仕事に時間をかけすぎるのは良くないと思います。効率的であることは、誰にとっても、そして自分自身にとっても価値あることです。
人生に対する「ポジティビティ」
Q. 新型コロナで自宅にいる間は、どんなふうに過ごしていましたか?
私にとっては、コロナ禍の2020年は興味深くおもしろい年でした。人生最高の1年だったと言ってもいいです。だって、Planner of the Yearを受賞したんですから!(笑)
それはさておき、仕事とプライベート双方においてさまざまなことがとてもうまくいっているのですが、これは在宅で仕事ができる環境になったことが大きかったです。自宅で自分に合うパターンで生活し、仕事に取り組めるのが良いですね。リモートワークを通じて無駄なことが省かれて、みんながより効率的に仕事ができるようになったと思います。
プライベートでは、イタリア語の勉強を始めました。去年の春にイタリアの感染が広がっていたとき、ベランダで音楽を奏でたり歌ったりしている人たちの姿を見て、とても感動しました。「何があっても最善を尽くす」「人生を愛する」というイタリアの精神が感じられ、私もあのポジティブさを身につけたいと思いました。ベランダで歌いたいということではありませんが(笑)、ポジティブな人たちが使っている言葉を学ぶことで、もっとポジティブに物事を捉えて楽しめるようになれればと思っています。
女性・外国籍プランナーとして初受賞
Q. 今回Planner of the Yearを受賞した感想と、これからの目標やチャレンジしていきたいことについて聞かせてください!
これを受賞することは、私の夢でした。日本で日本語を使って仕事をしながら、いろいろなチャレンジや壁にぶち当たり悔しい思いをすることもあったので、受賞によって達成感を感じていますし、キャリアのマイルストーンにもなるので、私にとってとても重要な出来事になりました。
ただ同時に、例年とは違って、授賞式などのイベントがなかったのは正直残念でしたね。オンラインで受賞したというメッセージを受け取ったときは、あまり現実感がありませんでした。みんなからのお祝いのメッセージが続々と届くのを見てちょっとずつ実感が湧いてくる、そんな感じでした。ちょっと悔しいので、いつかまたリベンジしてみたいですね(笑)
今回の私の受賞は、TBWA\HAKUHODOの女性プランナー、そして外国人としての初受賞となりました。これからの世代の女性プランナー、そして外国籍プランナーにとって重要な一歩になったと思います。これが決して最後ではないと確信し、この先のみなさんの活躍に期待しています。
私のキャリアの目標としては、もちろん今やっている仕事を続けていきたいです。まだまだですが、自分が少しずつ成長して認められてきているのを感じています。
さらに、自分個人としてもTBWA\HAKUHODOとしても、DEIやSDGsを推進していきたいです。日本をもっと住みやすくてハッピーな場所にしたい、もっと安心して自分自身を探求し発揮できる機会を与えてくれる会社のカルチャーを作りたい、と思っています。一緒に働いている若い女性プランナーの後輩たちにとって、自分が良い先輩・良いお手本となり、サポートすることが、推進を押しすすめられる一つの鍵になるのではないかと思っています。
ジェンダー平等への取り組み ー まずは自分の行動から
Q. DEIやSDGsの話題が出ましたが、一番早く実現したい課題は何でしょうか?
「ジェンダーダイバーシティと平等」です。
人口のおよそ50%は女性ですから、この50%の人たちの置かれている状況を改善することは、世界にとても大きな変化をもたらすことになります。日本の悲しい現実として、少子化や未婚率の増加などがありますが、それはますます顕在化してきている男女格差と関連していると思います。
ジェンダー平等というと、女性だけの問題と思われがちですが、男性も対象ですよね。男性にも、自分らしく自由になる機会が与えられるべきだと思います。もちろん、世界には男女だけではなくさまざまな性自認がありますが、大きな範囲でみるとジェンダー平等がさまざまな問題の根底にあると思います。それが解決されると、他の課題にも良い影響を与えられます。
こういう課題に向き合うときに大事なのは、自分自身の生き方だと思います。誰かに「働きすぎるな、もっと女性を活躍させろ」と言いたいのであれば、まずは自分がそうするべきです。それはTBWA\HAKUHODOの私たちにも言えることです。人に指示するよりも、まずは自分からやる。行動は、言葉よりも大きな声で語ってくれます。
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AOY受賞者インタビューシリーズ、次は「Japan/Korea Account Person of the Year」を受賞した、Head of Global Accounts 大野のインタビューをお届け予定です。
次回をお楽しみに!
広報チーム (koho@tbwahakuhodo.co.jp)