30 August 2022
Make it Smart, Make it Beautiful, and Have Fun – THオフィスのビハインドストーリー
TBWA\HAKUHODOが持つさまざまな魅力の中でも、最大の魅力と言っても過言ではないのが「オフィス」。THのパイレーツ※たちのクリエイティビティを生み出している場所です。
(※TBWA\HAKUHODOでは社員のことを海賊・パイレーツと呼んでいます。パイレーツカルチャーについてはこちら!)
THが選んだのは、ありきたりなオフィスビルではありませんでした。バブル全盛期に青春時代を過ごした人々なら一度は憧れ、そして訪れたかもしれない「とある建物」。かつて若者の活気にあふれていたその場所は、時代を経て巨大な倉庫へと様変わりしていました。その巨大な倉庫を大胆にリノベーションすることを決断し、THの顔とも言えるオフィスを生み出したのが、座間一郎会長です。
従来の既成概念をDisruption®︎(創造的破壊)して竣工し、今も進化を続けるTHのオフィスは、「日経ニューオフィス賞」のニューオフィス推進賞(経済産業大臣賞、クリエイティブオフィス賞)、関東ニューオフィス奨励賞などの賞を受賞し、海外でもGoogleやYouTubeなどの世界的企業と並び「世界のイノベーティブなオフィス」として紹介されています。
今回は、座間会長に、オフィス竣工当時の裏話やオフィスの秘密スポット、そしてこれからのオフィスの在り方について聞いてみましょう!
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クリエイティブマインドが生まれる空間
Q. TBWA\HAKUHODOのオフィスは、何からインスピレーションを得たのでしょうか?
2000年代初頭、日本の大手企業のほとんどは、高層ビルに整然と机を並べたような「きちんとしたオフィス」を構えるのが常識でした。
当時博報堂の社員だった私は、2001年から約2年間ロサンゼルスにあるTBWA\CHIAT\DAYに出向することとなったのですが、外観は巨大な倉庫でありながら中はおしゃれで広々としているオフィスに衝撃を受けました。そのオフィスは「CHIAT CITY」と呼ばれていて、執務エリアに会議室はもちろん、社員が休憩時間を楽しむバスケットコートも併設されており、屋外看板が掲げられている通路にはバス停のベンチや電話ボックスもあります。犬を連れて来ている社員も、キックボードで移動している社員もいて、まるでエネルギーが満ち溢れている街のようでした。伝説のクリエーター、リー・クロウー(Lee Clow)もいつもアロハシャツに短パン、ビーチサンダルで歩いていたので、まさにパイレーツ魂(反骨精神)の溢れる空間だと思いました。Disruptionで世の中を動かしていく、そのオフィスにはそうした気概を感じさせる独自で強烈なカルチャーがあったのです。こんな魅力的なオフィスを日本でも構えたいと思いました。
TBWA\HAKUHODOは2006年8月にTBWAと博報堂のジョイントベンチャーとして創立され、当時から新しいオフィス探しと企画に入っていました。ロサンゼルスのCHIAT DAYオフィスを知っている当時のCEOをはじめ、私を含めた役員たちは、2つの会社にルーツを持つ社員同志が一堂に集い、一つの会社として融合してシナジー効果を生み出していくには、オフィスが最重要テーマのひとつだと確信していました。働く環境が変わることで行動が変わる、行動が変わると意識が変わる、意識が変わると仕事のやり方も変わり、よりダイナミックなクリエイティブマインドが生まれる、と私は信じていました。
Q. 現在の芝浦の物件に決めた理由は何でしたか?
もともとボーリング場になる予定で眠っていた倉庫でしたが、5〜6階に空きスペースが見つかったとき、これだという直感はありましたね。THの全メンバーがワンフロアに集まることができる広々とした空間が良いと思いましたし、2フロア分ですから天井も高く、インテリジェントビルに比べて内部を自由に設計施工できるところにも魅力を感じました。壁や柱のない開放感に満ちた大空間を生かして全てのチームを同じフロアに置けば、社内コミュニケーションと部署間交流が圧倒的に取りやすくなります。 クリエイティビティーを最大限に発揮できるオフィスをゼロから設計しようということで、ここに決めました。
Disruptionと進化を続けるオフィス
Q. 竣工当時のオフィスデザインのコンセプトについて教えてください。
私は、THのオフィスを、形式に縛られずに自由な発想を生み出す震源地となる「クリエイティブワンダーランド」にしたいと考えました。
部門の壁を取っ払った大空間を人々が行き交い、その人々の自由な会話から新しいアイデアが生み出される。アイデアが形を変えたりまとまったりしてプロジェクトになる。その過程で社員たちがハッピーになり、世の中をハッピーにしていく・・・そんなまさに「クリエイティブワンダーランド」と呼べるにふさわしい場所にしたかったのです。
それをもとに、5階の執務エリアは「公園」をイメージして作りました。丘をイメージした会議室や、街の広場をイメージした広々としたDisruption Court(打ち合わせやランチ、パーティーなど、用途に応じて様変わりするマルチスペース)などが設置されました。
いっぽう、2012年に新しく完成した1Fエリアは、もとはバブル時代を象徴する伝説の「あのディスコ」だった場所です。ここを改装して執務エリアを増設しました。私たちはこの場所の歴史をリスペクトしており、ディスコ当時に使われていたものを敢えてさまざまな形で残しています。バーカウンターや入口のエントランススロープも当時と同じまま使っていますし、お立ち台はステージやフリースペースとして、VIPルームは会議室として使用しています。さらにミラーボールを新しく取り付けて当時の雰囲気をより感じられるようにして、ディスコとして若者で賑わっていた時の写真も飾っています。このあたりは私たちTHの遊び心ですね。
日本が活気にあふれていたあの時代にカルチャーの発信源だったこの場所から、今度は私たちが世界へとクリエイティビティーを発信し続けたいですね。
Q.6F( 執務エリアの上階)にあるメインエントランスの前には、ビリヤード台やライオン像が置かれています。また、執務エリア全体を俯瞰してダイナミックに見渡せるのも魅力ですね。
オフィスは社員が働く場としての機能が大きいですが、もう一つの側面としてクライアントにプレゼンする場としても大きな役割を果たします。当時は、クライアントに企画書やボードを持ち込んでプレゼンテーションを行うのが広告会社の常識でしたが、我々はあえてクライアントの幹部や担当者をこのオフィスに招待して、ブランドについて議論する「Disruption Day」を盛んにやっていました。
遊び心のある空間で、オフィスに満ち溢れるTH社員のエネルギーを感じると、クライアントも自分たちの会社の枠組みから離れて上司/部下の関係を少し緩めてくれるので、オープンな討議ができます。エンターテイメント性はクライアントや関係企業とともに創造力を発揮するのにとても効果があると感じています。
Q. 2020年には、さらに4Fにもオフィスをオープンさせました。
5〜6階のメインオフィスに続き、1階、9階、そして4階と、業績拡大に伴いオフィススペースも戦略的に変貌しつつ、我々にとってとても大切なDisruption Cultureを育んできたと思います。最近、特にこの3年間で世界でも環境が大きく変わってさまざまな働き方が容認されるようになり、一人一人のニーズに合わせることが何より大切になってきています。ですから、これまでのオフィスを主に協働・共創する場として作ってきたのに対し、最も新しい4階のオフィスは「個人」にフォーカスして社員が集中して企画を練ることができる場にしました。
個人が自由な発想を生み出せるための工夫を凝らしており、大小さまざまなミーティングルーム、個人集中スペース、対話を促進する 1on1 ルームなどが用意されているほか、ワークショップスペースや漫画ライブラリーなども完備しています。さらに、コミュニケーションやリフレッシュを促すラウンジ・カフェ(美味しいドリンクをいつでも無料で飲めるのでとても人気です!)は、会社のオンラインイベントを配信するスタジオとしても利用されており、多種多様なニーズや時代の変化に合わせてオフィスも積極的に進化していることを体現している場所です。
カルチャーを育む場所としてのオフィス
Q. 座間会長の、オフィスで一番楽しかった思い出について聞かせてください!
コロナ禍になる前、社員の家族や大切な人たちを招いてパーティーをしていたことですね。クリスマスやハロウイン、ハワイアンナイト、ブラジルサンバなどなど・・・よく働き、皆で弾けて遊ぶ!これもTHの楽しいカルチャーでした。あるパーティーでは、社員のご両親がいらして「娘はこんな素敵なところで働いているのか」と驚き感謝されたこともありました。クリスマスは定番で毎回楽しかったですが、一番の思い出は湘南動物プロダクションから本物のトナカイに来てもらってサンタクロースと共に家族写真が撮れたことです。個人の年賀状のデザインに使いました。
Q. あまり知られてないTHオフィスの秘密の場所はありますか?
実は「丘」をイメージした会議室の横にはしごが設置されていて、そこから「丘の上」に登れます。この空間は結構好きでしたね。社長の頃はよくここに登ってメールをチェックしていました。全社ミーティングやイベントでDisruption Courtに人がたくさん集まっていた時は、ここに登って参加しているメンバーも多かったですね。
あと、もともとボウリング場にする予定だった場所なので、会社のさまざまなところにボウリング場を連想させる要素を敢えて作っています。ボウリングのピンのように並ばせた照明、トイレの標識などなど、探せば結構あるので社員の皆さんにも見つけて楽しんでほしいですね。これもクライントやメディア、プロダクションの方々に向けたオフィスツアーで私が必ず紹介する自慢のアイテムでした。
Q. TBWA\HAKUHODOにとってオフィスとは何でしょう?そして、今後オフィスはどうなっていくべきか、社員にどのように思ってほしいか、考えを聞かせてください。
オフィスは我々社員一人ひとりが集う場所であり、Disruptionという行動や思考のカルチャーを育むという意味でも大切な存在だと思います。今後時代に合わせて変化していっても、私個人としては、サイズはともかく、ワンフロアで風通しの良いオフィスにこだわりたいですね。部門間に壁を存在させないという意味でも大切だと思います。
社員の皆さんには、レトロなアナログ時代の話に思えるかもしれませんが、世界のネットワークの中でも我々はDisruption Companyとして、そしてリーディングカンパニーとして数々の実績を上げつづけてきました。時代の変化と共に働く環境や仕事のやり方は一歩先を見据えて変えていくべきであり、働き方もとても大事なテーマです。デジタル化が進んでリモートワークが当たり前になった時代、次なるオフィス環境はどのように変化していくべきなのか?社員の皆さんと共に考え抜いていきたいと思います。
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座間一郎会長プロフィール
1984年博報堂入社。2000年にTBWA\HAKUHODOの前身であるG1 Worldwideの副社長に就任。創業メンバーとしてTBWA\HAKUHODOの立ち上げに携わり、2009年にCEOに就任。CEO在任中の2011年には、AdAge誌のInternational Agency of the Year にTBWA\HAKUHODOが日本の広告会社として初めて選出されると共に、Agency A-Listで自身が表紙を飾る。2015年より現職。
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次回のSTORIESもお楽しみに!
広報チーム (koho@tbwahakuhodo.co.jp)