AOY受賞者インタビュー:Head of Global Accounts 大野明香

15 June 2021

AOY受賞者インタビュー:Head of Global Accounts 大野明香

STORIESでは、TBWA\HAKUHODOで活躍中の社員をピックアップ!

今回の「Japan/Korea Agency of the Year 2020受賞者インタビュー」シリーズでは、「Account Person of the Year (Japan/Korea)」を受賞した、TBWA\HAKUHODOのグローバルアカウント責任者、大野明香をご紹介します!

大野 明香(おおの・さやか)
TBWA\HAKUHODO Head of Global Accounts

2020年4月にTBWA\HAKUHODOのグローバルアカウント責任者に就任。
クライアントとの厚い信頼関係を築き、マクドナルド、ユニクロ、AIG、P&G、Adidas、Oculusなどを担当している。TBWA\HAKUHODOの女性リーダーとして、若手リーダー育成にも力を注いでいる。
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Q. 今までの経歴を簡単に教えてください。

大学卒業以降、ずっと広告代理店でアカウントを経験してきました。1社目は日系の広告会社で、ナショナルクライアントをメインで担当しました。メディアやクリエイティブ開発、プロモーション、イベント企画など、エージェンシーの業務を幅広く学ぶ良い経験ができました。度々海外プロモーションなどのグローバル案件に関わる機会はありましたが、主要クライアントの特性上、そのような案件は少なかったため、もっと海外の案件に関わって学びたいと思い外資系の広告会社に転職しました。そこでは、海外のラグジュアリーブランドや生活用品ブランドなどのクライアントを担当していました。

その後、TBWA\HAKUHODOに入社。グローバルアカウントのスーパーバイザーとしてアカウントチームをリードしながら、TBWAのグローバルネットワークと協力して新規クライアントの獲得などに尽力しました。そして、昨年Head of Global Accountに就任しました。

Q. 広告業界でキャリアをスタートした理由は何ですか?

就活するときは、広告業界にこだわっていたわけではありませんでした。昔から人とのコミュニケーションが好きだったので、漠然と自分が営業の仕事に向いていると思い、いろいろな業界の営業職を調べていた中で、自分が本当に良いと確信できるものを自信を持って売りたいと考えるようになりました。そういう視点からみると、広告業界の営業職は、ゼロからモノ/コトづくりに携わることができて、自分自身が開発からアウトプットまで関わりながら100%信じきれるものを創造して提供できる、魅力的な仕事なのではないかという答えに行き着き、広告代理店に入ることにしました。

ダイバーシティなチームを率いて、ハイクオリティな成果を出す

Q. アカウントの責任者として、普段どのような業務を行なっていますか?

クライアントのブランドをどのように育てていくかを、ビジネスパートナーとしてクライアントとは別の視点で客観的にみて課題設定し、TBWA\HAKUHODOの「クリエイティブ」でどうサポートするかのプランをデザイン、そして制作進行やアウトプットまでを総合的に管理し、世の中に出すまでのプロセスをマネジメントしています。

マネジメント視点での私の役割は、各プロジェクトのプロセスのチェック、クライアントとのやりとりがスムーズに進行できるチームづくりとディレクションです。今まで積み重ねてきた経験から、案件がどのように進むかなんとなく見えるようになってきたので、その感覚を活かして、何かトラブルがありそうな時は事前に予測して解消するようにコミュニケーションしたりしてサポートしています。

また、成果物がクライアントの期待値に達しているか、当初の約束と期待値を果たしているか、TBWA\HAKUHODOの高いクオリティにふさわしいものになっているか、世の中にとって意味があるものになっているのかなど、クオリティをしっかり管理していくことも大事な役割です。何よりそれを作っているメンバーたちがハッピーに働けている環境が整っているかも確認し、問題があれば改善することも意識しています。

Q. リーダーとして、チームづくりで大事にしていることは何ですか?

それぞれのメンバーの個性を生かすことですね。特に私がリードしているグローバルアカウントチームは、バックグラウンド、国籍、キャラクター、そしてぞれぞれやりたいことなどの観点で、TBWA\HAKUHODOの中でもダイバーシティを持っているチームです。それを平均化するのではなく、可能な限りそれぞれの強みを活かしつつ、お互いに良い影響を与え合える環境を作るようにマネジメントすることが大事だと思っています。

自由にのびのびと能力を活かせる環境を整えたいと思っていますし、最終的にはメンバーひとりひとりがどこにいても活躍できるグローバルアカウントパーソンとして成長することが大切だと思っているので、バランスのいいスキルを身につけられるように意識しています。

アカウントマネジメントは正解がないから難しい。でも、だからこそ面白い。

Q. アカウントの仕事でやりがいを感じること、大変なことは何でしょうか?

アカウントは、クライアントのニーズに応えるために、社内のあらゆる部署から集まる多くのメンバーを束ねていかなければならないので、悩むことは多いです。
個性の強いさまざまな人がいることはこの会社の強力な武器ですが、そのダイバーシティを生かすも殺すも束ね方によると思っています。いろんな視点を持っているメンバーが集まるチームだからこそ生み出せるクリエイティビティがあるので、なるべく多様性が活かされるような進め方を見つけられるよう、常に努力しています。この「大変さ」と「やりがい」は本当に紙一重です。進め方に正解がない中で、それぞれのメンバーからベストなものを出してもらえるようプロデュースすることは大変ですが、その分、素晴らしいアウトプットを完成させられたときの達成感はとても大きいです。正解がないからこそ難しいし、だからこそ面白いと感じています。

よくメンバーと話して感じるのが、営業は「意識の持ち方」で仕事の仕方が変わるということです。営業の仕事を、単純にプロジェクトマネジメントで、決められたスケジュールをきっちり管理することだと思う人もいますが、TBWA\HAKUHODOの営業職(アカウント)は、それだけでは面白くない・不十分だと感じ、プロジェクトのデザインに積極的に力を入れる人が多いです。プロジェクトマネジメントにも工夫とクリエイティビティが必要、そう考えると今まで見えてなかった視点と共に色々な可能性が広がってくると思うんです。

アカウントは、基本的にはプロジェクトのゼロスタートから最後まで関わり続けるので、その中でさまざまな人たちと関わりながら、インスピレーションも得られるし、真逆の発想を見つけるときもあるし、個人にとってもたくさんの学びがあります。それが、アカウントをしていてよかったと思うところです。

アカウントこそが「クリエイティビティ」と「イノベーション」を発揮しなければならない

Q. 大野さんは「アカウントこそクリエイティブでイノベーティブなければならない」と考えているとお聞きしています。アカウントがどのようにクリエイティビティを発揮しているのか教えてください。

まずは、クライアントからブリーフ(依頼)を受けて、どの人を巻き込んでどう進めるかのチーム&プロセスデザインなどのコーディネーションからクリエイティブであるべきだと思います。いかに多様性あるチームを束ね、そのダイバーシティからどのようにベストパフォーマンスを出せるかを常に考えます。

クリエイティビティをもって、クライアントのビジネス、そしてブランドを拡大成長させること、それがエージェンシーのアカウントの仕事だと思っています。それを実現するためには、クリエィティブチーム以上にクリエイティブでなければならないという意識で日々の仕事に向き合っていますし、なぜこのクリエイティブが今必要なのか、それがどのようにビジネスに貢献するかを、しっかりと見極め、ジャッジし、マーケティング視点でロジックをもってクライアントの皆さまにも納得いただくための説明責任もアカウントにはあると思っています。
単にプロジェクトマネジメントを行うだけではなく、常にクリエイティブなマインドと強い好奇心を持ってクライアントの課題と成果物についての理解を深めることがとても重要になってきます。

以上のことから、アカウントこそが「クリエイティビティ」と「イノベーション」を発揮する立場であると私は考えているのです。

チームミーティングの様子

チームミーティングの様子

クライアントと本音で議論ができる信頼関係をつくる

Q. アカウントは、クライアントの急な要望などにも適宜対応しなければなりませんが、その大変さはどのように乗り越えていますか?

クライアントとエージェンシーは対等な関係であるべきだと思っています。ですから、クライアントからの要望が納得のいくものであればもちろんすぐに対応しますが、無理な要求だったり、筋が通らないと感じるときはしっかりと話し合って解決するようにしています。

私たちはエージェンシーとして強い想いと信念を持って広告を作っています。クライアントの求めるものと私たちの思いをしっかりと擦り合わせ、本音で話し合える信頼関係を構築することが、私のアカウントとしてのもっとも大事な役割だと思っています。クライアントをよりよく理解するために、たとえ請け負っているプロジェクトと直接関係はなくても、役立ちそうな情報をシェアしたり、抱えていると思われる課題を客観的な視点で見つけて伝えるようにするなど、関係性を高める努力をしています。このようなことを継続的に続けていると、フェアな議論ができるようになってきます。こうした関係が構築できた上で、急な要望であってもやるべきだという判断になった時は、妥協したものではなくベストを尽くしたものを世の中に出すべきなので、現場のメンバーと調整して対応するようにしています。

クリエイティブのパワーを信じる人たち

Q. 大野さんが思う、TBWA\HAKUHODOの良いところはなんでしょうか?

TBWA\HAKUHODOのいいところは、圧倒的にクリエイティブのパワーを信じる人たちの集団であり、そこに対しての意識の高さ、求められる期待値を超えるアウトプットクオリティの高さにあると思います。一緒に仕事をする人たちからいつも刺激を受けられる、本当にいい人材が揃っている会社だと感じています。

その背景にあるのは、Disruption®️(創造的破壊)という私たちのフィロソフィーがあって、みんながそのひとつのカルチャーで繋がっているところだと思います。だからこそ強いクリエイティブが生まれているのだと思いますね。この素晴らしいカルチャーと人材が揃っている点が、他が真似できないTBWA\HAKUHODOの強みです。

お互いを理解し、尊重しあうカルチャーづくりが第一

Q. 多種多様なグローバルクライアントと仕事をしたり、グローバルなチームをリードする上で、大野さんが大切にしていることは何ですか?

さまざまなグローバルクライアントと仕事をさせていただいてきましたが、業種や国によって仕事のやり方も考え方も全然違うんだということを学びました。特に日本はすごく独特なマーケットで、人々の性格も他の国とかなり異なると実感することが多いです。現場でも、ありきたりですが日本人はあまり自己主張しない傾向にあり、それは日本人同士でなら良い場合もあるのですが、グローバルなプロジェクトでは困ったことも少なくありません。でも、私は、日本人の謙虚さや美徳の素晴らしい点を海外の人々に理解してもらうことも大切だと思っています。

プロジェクトのスタート時点で私が心がけていることは、まず相手側のやり方を理解し、そして日本のやり方も相手に理解してもらい、相互理解をした上でオリジナルのやり方を模索していくことです。こうすることで、お互いを尊重できるし、シナジー効果も上がります。


それに関して、記憶に残っているエピソードがあります。あるプロジェクトでインドのチームと一週間協業をしたときのことです。インドでは、アイデアの出し合いが延々と続き、クライアントへのプレゼン前日までまとまらず、プレゼン資料も作成される気配がありません。その様子を見て私は内心すごく焦ったのですが、インドのスタイルを信頼してみようと思い、催促することを我慢してみました。すると、プレゼン前日の夜遅くにインドのチーム全員が一斉に作業を始め、素晴らしい資料を完成させてしまいました。インドの業務プロセスと日本のプロセスがあまりにも違いすぎて、これには大きな衝撃を受けました。でも、その後インドのチームから「日本と本物のOne teamになれた気がして、とても良い経験だった」と言ってもらえたことは嬉しかったですね。相手のやり方を尊重することの大切さを改めて実感した経験でした。

仕事のプロセスというと、よくアメリカやヨーロッパのやり方が効率的なモデルとして考えられがちですが、日本ならではの協調性やプロジェクトマネジメントの良さを活かしていくと、新しい価値が生まれることも多いです。そこから日本の良さを伝えることにも間接的に貢献できると思うので、これからも意識していきたいと思います。

広告には、時代の雰囲気を作れる力がある

Q. Agency of the Yearを受賞した感想と、これからの目標を聞かせてください!

コロナで世界が大きく変化しており、今までのスタンダードが通用しない、それこそ全てが「Disruption(創造的破壊)」されて新しいスタンダードが生まれるこのタイミングに、今のポジションで仕事させていただいていることに対する責任と意味を改めて感じました。

広告は、その時代の空気を醸成する力があると思っています。
新しい時代に、広告を通して人々が必要とするメッセージを配信すること。それに対する責任も感じますし、新しい道を切り開いていくことにエキサイトメントを感じます。今後広告エージェンシーの形もどんどん変わっていくと思うので、新しいことに悩みながらもチャレンジして、時代を切り開いていけたらいいなと思っています。

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今後もSTORIESではいろんなTBWA\HAKUHODOメンバーを紹介していきますので、次回をお楽しみに!

広報チーム (koho@tbwahakuhodo.co.jp)